俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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586:名無しNIPPER
2019/06/30(日) 00:48:21.13 ID:UuBroTXy0

陽乃「それで、私もちょっと飲み過ぎちゃったし、ここからだと家に帰るより雪乃ちゃんの部屋の方が近いから、今日はこのままお泊まりさせてもらおうかなって ――― 明日のこともあるし」

八幡「明日のこと?」

何かしら含みのあるそのフレーズに思わず反応した俺を陽乃さんは素知らぬ顔でさらりと流し、

陽乃「あ、そうだ。丁度良かった。比企谷くん、ちょっといい?」

止める間もなく、ごくさりげない仕草で俺の肩に手を載せたかと思うと、

陽乃「慣れない靴履いてきちゃったせいか、さっきからずっと踵が気になってて」

悪びれもせず言いながらひょいと片足立ちとなり、俺につかまる手でバランスをとりながら、ひとさし指の指先でくいとヒールの位置を直す。
その拍子に陽乃さんの身体がぐっと接近し、柑橘系の香水に仄かなアルコールの入り混じった甘い香りが鼻腔をくすぐる。

と、同時に服の上からでもそれとわかるほど暖かくしっとりと柔らかな重みが俺の腕のあたりにぎゅっと押し付けられるのを感じた。

陽乃さんは俺の反応を楽しむかのように、とろけるような悪戯っぽい笑みを浮かべ、俺の顔を下から覗き見て更にぐいとばかりに身体と顔を寄せて来たかと思うと、


陽乃「ねぇ、比企谷くん?」 

八幡「 ……… な、なんすか?」

陽乃「疲れちゃったから、おんぶ」 

八幡「 ……… いやそれ無理でしょ」

だからいきなり何言い出すんだよ、この人。

陽乃「あらそう、残念。じゃ、抱っこでもいいんだけど?」

八幡「 ……… いいんだけどって、なんでそこでハードル高くなってんすか」

ただでさえ人目を引く美人だってのに、公衆の面前で、しかも、それこそ抱き着かんばかりに身を寄せられてさすがにきまりの悪くなった俺が、

八幡「 ――― っていうか、今日はいつもみたく車じゃないんですか?」

いつものように話を逸らして煙に巻こうと、咄嗟に思いつきの疑問を口にすると、


陽乃「ふふ。だって、雪乃ちゃんたら、あれ以来、滅多にあの車に乗ろうとしないんだもの」

小さく笑みを浮かべて答えるあねのんの向こうで、雪ノ下が居心地悪そうにもぞりと小さく身じろぎするのが見えた気がした。



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