俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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146:1[sage]
2017/03/10(金) 21:07:05.95 ID:4HNvyQ/Y0

その足で職員室まで戻ると、やはりキーボックスにはまだ部室の鍵が掛かったままになっていた。

その少し錆びついた無骨な鍵を手にとり、しばし眺めた後、しっかりと手に握り込むと、利用簿に名前を記入しそのまま部室に直行する。


古くなってやや強情になった鍵を開けると、当然のように中には誰もいない。

もともと必要最低限のものしかなく、ひたすらガランとした室内の隅には、まるで忘れ形見のようにポットとティーセットが一式置かれたままになっていた。


俺はいつもの定位置、つまり窓際に席を占める雪ノ下とは反対側、廊下側の席に座りつつ、いつになく目まぐるしく頭を回転させる。

理由はできた。動機としても、まぁ十分だろう。あとは計画と実行あるのみだ。


雪ノ下と葉山の家の婚約を破棄させる方法 ――― そのことについては、実は俺の中に腹案がないというわけではなかった。

だが、正直なところ成功率はかなり低い。そして万が一成功したにしても、そこには多大な犠牲が伴う。

下手をすれば、人ひとりの人生を大きく狂わせ、台無しにしてしまうことにもなるかも知れない。


――――― それでもやはり、やらなければなるまい。




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