【ペルソナ5】9股かけたけどやっぱりたった一人を決めていく・後編【安価SS】
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◆86inwKqtElvs
[saga]
2017/07/05(水) 10:17:03.72 ID:gs3hnXCZ0
「私は止めたほうがいいと思う」
ずきんと心に響く。心臓が喉にせりあがってきそうで息ができなくなっていく。
心ではそう思ってないことを言っているから。本当は、死ぬほど嬉しいくせに。
「私は自分のやったこと、許してないから」
――それでも、越えてはいけない線がある。
私にとっても、彼にとっても、みんなにとっても大切なものを、私は壊そうとした。実際、壊れる一歩手前まで行ったと思う。
みんなが頑張ってくれたから結果的に壊れなかっただけで、結果はどうあれ壊そうとして壊しかけた事実は、罪は変わらない。
私が他の子の立場なら、みんなみたいに「大丈夫、帰ってきていいよ」と言うだろうし、それは本心からだと思う。みんなの気持ちがわからないほど、私たちの絆は浅くない。
そこまでわかっていても、私はここにいちゃいけないと思う。だって、
「逃げるのか?」
――――、
ああ、
私、逃げてるんだ。
「……だ、だって……だって……っ!」
止まっていた関が溢れるように決壊した。
「みんなが優しすぎて、辛い、責めてくれればいいのに、許さなければいいのに、あんな酷いことしたのに……!」
「みんな、春と同じ不安を抱えてたから」
私の大好きな君が言う。
「ごめん」
もっともっと言いたかった言葉を、彼が言った。
「気付かなくてごめん。一人で決めてごめん」
彼も、抱えてたのかな。
「もう一人で勝手に、どこかに行かない」
彼は、誓った。
「春は?」
みんなが許してくれた。そのことに、何を返せばいい?
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