【ペルソナ5】9股かけたけどやっぱりたった一人を決めていく・後編【安価SS】
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◆86inwKqtElvs
[saga]
2017/02/19(日) 19:33:38.45 ID:IK4G7aOF0
春「わかった」
(春がカウンター席にまた座った)
(やはり動こうとしない)
(ただ見下ろしている――)
双葉「い、」
双葉「いやだ、はる」
双葉「なにか、しゃべって、はる」
春「…………」
他のみんなが私を助けようと動いてくれる中、春だけはただその様子を眺めていた。
やめて。
その目はやめて。
そんな、モノを見るような、
惣治郎の前にいたあの家のやつらみたいな、そんな目を、
春は、仲間にだけは、――!
「楽だね」
他の仲間の怒号や慰めの声より、ぽつりとつぶやいたその一言の方が耳に付いた。
「苦しむ双葉ちゃんを眺めるだけで壊れてくんだから」
最初からそうしておけばよかったかな。
いつも通りのふわっとした声で、いつもじゃありえない冷たい言葉が吐かれる。
「は、る……! は、は、…っ」
それでもまだ、信じたかった。
「春、選ぶ。お前を選ぶ」
だからこれ以上はやめてくれ――
なんでだろう。
さっきより、胸が苦しい。
「双葉ちゃん」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった私を、春は抱いて、あやすように背中を叩いた。
春がポケットから出したハンカチで私の顔を優しく拭う。
「……春……?」
「お別れだね」
今だけ、私の知ってる春に戻ってた。
さっきまでとは違う、優しい言葉。なのに。
「悪いな、双葉」
竜司の声が、冷たくて鋭い。
「仲間にこんなことするやつは、もう仲間として見れねえよ」
しん、とルブランが凍った。
全員が竜司の言葉を肯定していた。
私以外が。
「さよなら」
もう、行かないでとすら、声に出なかった。
…………
………
……
「……夢か」
今日は真と冴と、あとモナに春も来る。だからこんな、あの日の再現みたいな夢を見たんだろう。
怪盗団が崩壊してから12年が経っていた。
私以外はみんな自分の道を進んでる。
私は高校には辛うじて通ったけど、それからが決まらなかった。
怪盗団に入る以前の、人との関わりを拒絶する情けない自分に戻ってしまった
高校を卒業してからは引きこもりに戻ってしまった。
約束ノートは果たせてない。カナちゃんにも会えていない。
あの日、春が残していったハンカチと一緒に、未練がましく枕元に置いてある。
起きてからの癖で、PCに向かってネットサーフィンで辛うじて人との繋がりを求める。
しばらくして、扉のノックの音。
「双葉、大丈夫か?」
「……うん」
少しだけ迷ったけど、ハンカチを持って、私は居間に、
今でも仲間として心配してくれる人と、かつての仲間に会いに行く。
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