926: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:00:32.28 ID:TPJ777ywO
平沢「IBMをありったけ発現しろ!」
永井「行け行け行け!」
中野とアナスタシアを追いやるように階段へと促し、永井は振り返って平沢の様子を見た。
永井「平沢さん!」
平沢は通路に置いた消火器を後退しながら撃ち抜いた。
白い噴煙が通路のあちこちにふりかかるのと同時に永井はあたう限りの黒い粒子を放出する。噴煙と粒子はそれぞれの層を作り、白黒を完全に色分けされた流動がもうひとつの氾濫となってフラッドのIBMたちに迫っていく。黒い粒子がかたちを作り始める。頭、胴体、手足が形成され、霧の中に潜んでいた怪物が獲物を求めるときのような叫びが消化剤の煙幕から鋭い反響をともなって轟わたる。複数のIBMが噴煙から飛び出し、永井の断頭を目論む集団と衝突する。
平沢「永井、もういい。退け!」
七体目のIBMを発現したところで、平沢が永井に向かって叫んだ。
縺れ合う絶叫と笑い声。黒い幽霊たちが身体を捻じ曲げながら白煙をかき混ぜ、狭い通路で殺し合いを演じている。マニエリスム的な通路の状況に背を向け、永井は階段へと遁走する。
アナスタシア「ケイ、急いで!」
中野「永井、早く!」
永井「先に行ってろ!」
手摺から身を乗り出す二人にいらだちながら永井が叫び返した。
踊り場まで駆け上がり平沢に追いついたとこで、先行していた二人は身体を反転させ階段を上った。
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