915: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/05/06(月) 22:55:53.29 ID:kdA8uLchO
アナスタシア「ケ、ケイが……!」
平沢「まだだ」
弾倉交換を行いながら、平沢がアナスタシアを諌める。
首の後ろの皮膚から血が飛び散った瞬間、永井の背中から飛び出してきた二発の銃弾が佐藤の首と左肩をとらえた。佐藤は壁に背中をぶつけ、そのままずり落ちていく。
永井は痛みを頼りに佐藤の位置を捕捉し、自分の方へ越しの銃撃とリセットを同時に成功させた。
復活した永井は上体を起こし、片膝を立て銃口を佐藤に向ける。シャフトを持った佐藤が草刈機を操り、拳銃を握る永井の手を回転鋸で襲う。シャフトを持つ佐藤の右手首を中野が撃った。中野はもういちど引き金を引こうとするが、そこで命が限界をむかえる。
永井「いまだ!」
永井はアナスタシアに向かって叫び、それから佐藤の両膝に銃弾を撃ち込んだ。拳銃が弾切れを起こす。IBMが接近する足音を耳にしながら永井はすばやく弾倉交換を行い、銃口をふたたび佐藤に向ける。
永井は佐藤の顔を見た。
蜘蛛の濡れた足のようなものがうなじを走り、一瞬、髪の毛が逆立った。
永井は佐藤の“表情”を見た。
初めて見る“表情”だったが、その“表情”のことは話に聞いていた──「彼の“表情を初めて見た」──顔も名前も知らない老人の声が頭の中で響き渡った。
佐藤は永井にむかってにっこり笑いかけた。とてもうれしそうだった。
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