819: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:30:08.46 ID:6D6vTS+OO
黒服2「平和なんてハリボテの上で暮らすなんざ、いまさら気乗りしねえからな。なあ?」
黒服1「金が貰えればなんでもいい」
若い黒服は文庫本からからいちども眼を逸らさず、我関せずの態度のまま返事をした。読んでいたのはウラジミール・ナボコフ『青白い炎』で、開いてあったページにはこんなことが書かれていた。
── 三段論法。他人は死ぬ。しかしぼくは
他人ではない。ゆえにぼくは死なない。
[註釈]これは少年を面白がらせるかもしれない。年を取ってからわれわれは自分たちがその「他人」であることを知るのである。
年嵩の黒服は年下の仲間の態度をかるく笑い飛ばしながら、また何事かを話しかけた。
真鍋は仲間の話し声を耳にしながら、感慨深げに口を開いた。
真鍋「湾岸でも……そのあとも……平沢さん、あんたにはいろいろお世話になったなあ」
平沢はただ黙って、真鍋の言葉に耳を傾けていた。
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