815: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:26:43.84 ID:6D6vTS+OO
一階ではシャッターが開けられ、永井の作戦通りに多くの警察官がビル内に入ってきた。
戸崎はセキュリティ・サーバー室から田中の侵攻ルートを説明して、警官を各階に配置していった。
救急隊員が怪我人を見、手当が済んだ者から一階へと運んでいく。警官のほうは聞き取りをおこない、田中たちの足取りを確認する作業に没頭していた。
無線からは業務的な報告が聞こえてくるだけで、佐藤が現れる気配はまだなかった。
中野は無線の雑音と警官の口ごもりや言い直しが混じる報告を耳で受け止めながら、また永井に質問した。
中野「永井、さっき敵はまずセキュリティ・サーバー室を狙うって言ってたよな。佐藤一人じゃ侵入すらできねえんじゃねーの?」
永井「こちらでシャッターを開けっぱなしにしておく。不審がられたっていい。罠だと知っててテーマパークに飛び込んでくるんだから」
ふと永井が言葉を切った。
永井「正直、佐藤がどんな作戦で来るのかまったくわからない」
声の調子が低くなり、それとともに永井の表情が懸念に眉をよせるのを中野は見た。
永井「だが物理的に入口はひとつ、絶対、田中達とおなじ順路を辿るほかないんだ。それだけわかってれば十分! やつは怪物でもなんでもない、死なないだけのただの人間だ!」
永井は腕組みしている手に力を入れていた。指にかかる握力のせいか、声も少し荒っぽい。言い終わったあと、力を抜き、拳になっている手をゆるめる。そして、自分自身に言い聞かせるようにちいさくつぶやいた。
永井「だれがビビるかよ」
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