新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
794: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:39:05.48 ID:ymR8HEsBO

「クリア」という声がコイル型イヤホンから聞こえたとき、アナスタシアにはその言葉が何を意味するのかすぐにはわからなかった。少ししてビルに侵入してきた田中たちがやっつけられたのだと思い当たった。

アナスタシアが正解に思い当たったのと同時にスマートフォンがブルブルと振動した。洋式トイレの蓋の上に置いていたのでびっくりするような大きな音が婦人用トイレに鳴り響いた。アナスタシアはビクッと肩を震わせ、そのときの動作によって人感センサーが働き、トイレの照明がパッと光った。

メールは永井から送られてきたものだった。本日四通目のメールの文面には、田中以下三名の無力化を確認、佐藤はいまだ確認できず、引き続き待機、との指示が書かれていた。

アナスタシアは洋式トイレの蓋の上にスマートフォンを置き、無線機の横に並べた。トイレットペーパーを敷いた場所に尻を置き直し、ふたたび仕切り壁に背中を預ける。両膝を合わせて抱え込むようにして手を組むと、そこに左頬を置いて無線機とスマートフォンを眺めた。

ウィッグの前髪が垂れ落ちてきた。視界に入り込んできた黒髪を直そうとしたとき、照明が自動で消え、暗闇が戻ってきた。アナスタシアはくすぐったさにむず痒い思いをしたが、身を隠していることを考えるとまた明かりを点けることはためらわれた。結局、ウィッグの毛はそのままにしておいた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice