769: ◆8zklXZsAwY[seko]
2019/01/26(土) 22:00:06.82 ID:ymR8HEsBO
シャッターは下りなかった。警備システムはすでに奥山が掌握していて、すべてを操ることができた。
ボタンを押した警備員の頭蓋骨が散弾で吹っ飛ばされた。衝撃によって警備員は顔面から壁にぶつかり鼻骨が折れたが、彼はもう痛みを感じることはなかった。糸の切れた操人形のように警備員の膝がくにゃりと折れ、床に倒れた。
770: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:01:26.41 ID:ymR8HEsBO
『エレベーターは使わないでよ。物理的に塞がれたら詰むから』
インカムから奥山が注意をした。
771: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:02:33.88 ID:ymR8HEsBO
高橋「ここまできてさすまたかよ」
高橋が死体の横に落ちているさすまたを見て言った。
772: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:03:33.84 ID:ymR8HEsBO
高橋「法律違反だろ」
ゲン「だれかクビになったして」
773: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:04:52.65 ID:ymR8HEsBO
高橋「イアー」
高橋が階段を駆けあがり、黒い幽霊と拳を突き合わせた。黒い幽霊の口角も心持ち上向いている。
774: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:07:02.30 ID:ymR8HEsBO
『上の階、固められてる。シールドと麻酔銃で』
しごく冷静な声を保ったまま、奥山が状況を説明する。
775: ◆8zklXZsAwY[seko]
2019/01/26(土) 22:08:00.60 ID:ymR8HEsBO
言い終わった田中が慎重に、ゆっくりとドアノブを捻る。このとき、廊下で陣取っている警備員のうちの一人がドアノブが動いたと感じたが、田中は二秒間握ったままの姿勢でいたため、その警備員は気のせいかと思い始めた。突然、叩きつけるようにドアが開け放たれた。田中はオフィスに飛び込むと同時にショットガンを持ち上げ、すぐさま引き金を引いた。散弾がシールドを割り、割れた強化プラスチックと散弾が警備員の肩をえぐった。オフィスの隅の方に固まっていた社員たちが悲鳴をあげた。
田中は腰をおとしデスクの陰に隠れられるように重心を左に傾けた。田中に続いて突入してきた高橋がAKMを乱射する。銃弾が麻酔銃を撃とうとシールドから身体を出していた何人かに貫通した。弾が当たらなかった警備員は高橋が田中の後を追ってデスクに身を隠す前に麻酔銃を撃った。麻酔ダートが左肩の下あたりに突き刺さり、高橋の身体から意識が消え、すぐ後ろのゲンを巻き込んで仰向けに倒れた。
776: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:09:47.22 ID:ymR8HEsBO
田中は引き金を引きその男の顔面を吹き飛ばした。
田中「はやくこっちに来い!」
777: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:11:31.15 ID:ymR8HEsBO
田中たちが去った直後のオフィスは霞が漂っている森の中のように静まりかえっていたが、──実際に白煙が漂っていたが、それは銃の硝煙で不快な煙たさを持っていた──やがて、徐々に動き出すものがあった。デスクの下や壁際に身を縮こまらせていた社員たちがおそるおそる顔をだし、周囲の状況を確認しはじめた。かれらは積み重なる死体に怯え、ひとりが北階段のほうへ一目散に走り出すと、ほかの者たちも悪霊にとり憑かれた豚の群れが湖に飛び込んでいくかのようにあとに続いて逃げ出した。
オフィスにはなにも言わない死体たけが残された。しかしそのように見えたのはほんの五秒ほどのことで、床に仰向けに倒れていた警備員の死体のひとつがふっと右腕をあげ、被っている帽子のつばに触れた。
778: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:13:07.19 ID:ymR8HEsBO
十階へと降りる途中で中野と出くわした。中野は手摺に右手を軽く置いた姿勢で背中を向けていた。背後から聞こえてきた足音に慌てている気配を感じられず、ついさっきオフィスから逃げたしてきた社員たちの避難誘導をしたばかりの中野はその足音が永井のものだろうと振り返るまえから察していた。
中野「なにしてたんだよ、永井?」
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