新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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746: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/11/07(水) 23:28:35.13 ID:vr0r0Ve5O


 文香は本を見るなり、喜び、そして喜びのあまり永井に本の紹介しそうになるが、思いとどまる。

 ウィリアム・ギャディスは訳書が『カーペンターズ・ゴシック』のみ。日本ではまったくもってマイナーな存在で、文香の通う大学の図書館にも置いてなかったほど。

 そのような作家について熱っぽく語るほど相手を引かせることはない。文香にもそれくらいのことはわかる。まして、このときは永井と話したことは数える程度。しかも仕事で。

 というふうに文香が気持ちを落ち着かせて、そうだお礼を言わなければと思い出したとき、永井がふとした調子で質問した。


永井「ウィリアム・ギャディスの小説って鷺沢さんのところにまだありますか? 洋書でもいいんですけど」

文香「ギャ、ギャギャ、ギャディスをご存じで!?」


 驚き、いきなり距離を詰める。永井はひょいと横に避ける。文香がよろめく。壁に手をついて転ぶのを防ぐ。無人空間への壁ドン。


永井「大丈夫ですか?」


 永井が後ろから声をかける。ちいさく「はい……」と応えた文香の顔が真っ赤になったことは言うまでもない。



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