74: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/28(土) 23:15:41.32 ID:8ENUCYV1O
美波は黙ったまま話を聞いていた。美波と対面するかたちでプロデューサーはソファに腰掛けていた。目の前の美波は顔をあげ、プロデューサーと視線を交えている。そこにあるのは綱引きのような緊張関係だった。美波はプロデューサーの協力を求めていたが、無条件になんでも受け入れることはできなかった。自分の意志が最大限に尊重されることが前提で、それが認められないなら別の人間に助けを求める意志があること彼女の眼は語っていた。美波の視線が鋭さと潤みを増すのを見てとりながら、プロデューサーは話を先にすすめた。
武内P「いちど拡散された情報は回収ができないどころか、恣意的な編集によって情報が歪められる恐れがあります。悪意をもってそう意図するわけではなく、ただ単に放送しやすくするためという理由でおこなわれた編集でもそういったことは起こりえるのです。すべてのメディアが内容にも配慮するという保証はありません。映像それ自体に重きを置いた加工がなされても、それは報道する側の自由なんです」
美波「なにもせずにこのまま黙っていることが得策だと言うんですか?」
武内P「戸崎氏がおっしゃったことなら、わが社の広報からでも伝えることは可能です。新田さんは、それでも会見にお出になられるとおっしゃるのですか?」
いっときの沈黙ができた。応接室は時計と空調と観葉植物の葉が壁にこすれる音に満たされた。すこししてふたたび美波が口を開いたとき、その声には切実な感情が滲みでていた。
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