新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
709: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/11/04(日) 21:02:12.99 ID:jiMS7eDVO

中野「なあ、なんで社員に知られちゃだめなの?」


 エレベーターに乗り込むとき、中野は永井に訊ねた。永井はそれを無視して壁に背中を預け、やはりまだ気の抜けた無表情のままでいた。


平沢「前に言っただろ。われわれの介入を敵に知られないためだ」


 平沢が永井の代わりに答えた。


戸崎「内通者が発生している可能性がある以上、社員すべてに対し秘密裏に動く必要がある」

中野「秘密り……り?」


 聞き慣れない単語のせいで中野の理解はいまいち進まなかったが、戸崎は気にせず、亜人管理委員会内に発生していた内通者に思いを馳せた。

 二日前に都内の高級料亭で亜人管理委員会メンバーの会合があり、戸崎は当初の意志を翻し出席予定だった。そこをIBM二体が襲撃──一体は田中のものだ──したものの、戸崎は不在だった(出席は内通者をあぶりたすための方便だった)。田中のIBMにあせって言い繕った長髪の研究者がもう一体のIBM──なだらかに盛り上がった丘のような頭部を持ったIBMで、首にあたる部分はなく、巨大な手をしていた──に殴り殺された。研究者の顔面は打ち下ろされた拳の威力で表裏がひっくり返りなくなってしまった。そのとき、振り抜ける拳の軌道上に大臣の鼻先があった。鼻先はこそぎとられ、じくじくと痛みだし、指先で拭った血を見つめる大臣の内側にじわじわと恐怖心が湧いてきた。

 この襲撃事件によって、厚生労働大臣および亜人管理委員会は方針を転換、佐藤との対話・和解を進め、現行の作戦の一切に中止が命じられた。つまり、戸崎たちはまったくのバックアップなしに佐藤を拘束しなければならくなったのだ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice