新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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628: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/07/08(日) 20:50:46.90 ID:Wqc3ZOPPO

すぐ眼の前に喫煙室があった。ガラス張りされた透明な隔離所にはクールビズ姿の男性職員がふたり、煙草を吹かして紫煙を吐き出していた。壁掛けテレビが他愛もない午後のニュースを報じていた。
 戸崎は喫煙の欲求をなんとか押さえ込み、自販機横にある合成皮革の長椅子に腰を下ろした。


戸崎「別種ども……」


 戸崎は背中をまるめながら、組んだ手で口元を隠していた。眼付きはいらだちによって鋭く、鼻先も内面が現れたかのように尖っているようにみえる。

 リスクの上昇。暗殺リストの存在感はこれまで以上にひりついて感じられた。許容できると思っていた命のリスクは、戸崎の想像の範囲を容易く越えてきた。

 二〇パーセント……命のリスクがそれまでならなんとか許容できる。仕方がない、金払いはいいんだ、こういう仕事は……非合法な仕事、物騒な仕事、調査し確定し拘束する仕事、口止めする仕事、脅すか賄賂をつかませる仕事、目撃者に気をつけなければならない仕事、ときに命を奪う仕事、足場が不安定な仕事、へまをすれば消される仕事、彼女との約束を違えた仕事……



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