602: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/05/13(日) 22:05:08.82 ID:HRQM2WMiO
中野「あそこに食堂があるぜ」
言いながら中野は顎をしゃくって前方にふたりの視線をうながした。張り紙がしてある古びれたサッシの引き戸、ひさしのうえに掲げられた年月に晒されくたびれた白地の看板には色褪せた赤い字で食堂の名称が書かれている。ひと気のない観光地の路地にひっそりとたたずむ商品替えもしたことないようなみやげ物屋、そういう印象を与える食堂だった。
引き戸の入口のすぐ側には鉢植えが並んでいて、世話をされず放置されたのをいいことに植物は生命力を野放図にひろげ、重く厚くなった葉を地面に垂らしていた。鉢植えのあいだに立て看板が縦につらぬくように立っていた。黒い細かな文字、おそらくメニューだ。
三人は車から出て、立て看板へと歩いていった。今日はサービスデーらしく、朝の献立をたのむとたまごか納豆が無料でついてくると書いてあった。
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