554: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:33:06.87 ID:oL93h30zO
中野「探してるだろ」
永井「やみくもに走らせても意味ないだろ」
中野「じゃあ、どうすんだ?」
永井「車停めてカーナビつけろ」
中野は言われた通りにした。起動したカーナビの画面に地図が表示され、現在地の周辺情報が検索可能となる。
井戸から出したとき、永井は亜人は追われる存在になったとアナスタシアに言った。その説明にうそはなかったが、わざと言わなかったこともある。追われる亜人とは永井のことで、アナスタシアはそうではないということだ。追手の銃声の効果も手伝ってか、アナスタシアはなにも聞かずに黙ってついてきた。疑いを持ったとしても、アナスタシアのスマートフォンはいまも永井が預かったままなので、動画が拡散させれいるか確かめる術がない。自分の正体が世間に露見したと思い込んでいるはずだ。ならば、人気のない場所をしらみつぶしに探せばいい。
永井は頭は良かったが、この考えは直感的なものだった。トラックに引かれた日、永井もおなじ気持ちを味わっていたから。
蒸し暑さにうるさく鳴く虫。うんざりするような暑さが今日も夜を包んでいる。訴えるような犬の遠吠えがかすかに聞こえた。
アナスタシアが歩き去った方角と移動速度を考慮して捜索すべき範囲を決めると、永井はめぼしい箇所をいくつかピックアップする。公園や神社といった夜間に人の気配がない場所を。
捜索場所を選び終えると、焦れていたのか中野がまた車を急発進させた。
永井はとっさにダッシュボードに手を置いたので、身体が前に倒れることはなかったが、それでも悪態をつきそうになった。
こんなことになるなら井戸の底に置いてくればよかった。そう思いながら、永井はようやくシートベルトをつけることができた。
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