新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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548: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:23:35.95 ID:oL93h30zO

 佐藤との戦闘にあたり、アナスタシアが戦力になるか、永井は評価を保留している。本体の戦闘力はともかく、コントロール可能な黒い幽霊は有益だし、仲間はひとりでも多い方がいい。しかし、問題点もある。そっちの方が多いくらいだ。アナスタシアはただでさえ目立つ容姿をしている、しかもアイドル、それも知名度があるアイドルなのだ。スケープゴートにできたなら、これらの点は有効に作用しただろう。容姿と知名度がアナスタシアを追い詰め、永井は注目されることがなくなる。そういう望ましい状況が生まれるはずだった。いまでは、それらはむしろネックになっている。秘密裏に行動しなければならないこの状況では。

 それに、アナスタシアは死ぬのを怖がっている。自分でリセットできない亜人などどう考えても足手まとい。死に際がわからず、銃撃に怯んで動けなくなってしまったり、逆に空気を裂きながら襲い掛かってくる銃弾の群れに無闇に飛び込んでいくかもしれない。

 永井は階下のアナスタシアを無感心な眼で見やった。

 アナスタシアは永井の良心的な部分を見出だすのをまだあきらめてないのか、涙を堪えために細めた眼でなんとか永井を見上げたままでいる。そんなアナスタシアの様子をみた永井の心のなかにだんだんと疎ましさが増しはじめた。同時に、どうやら姉の状態はかなり良くないようだということも感じ取った。記者会見のことやその他の亜人に関することを気にして、おそらくは鬱状態にまでなっているのだろう。

 すっかり動揺していたアナスタシアは、懇願するときのように声を絞り出して、自分が最も尋ねたかったことを口にしてしまった。



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