507: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 23:13:41.24 ID:OBzab0O/O
北さんと呼ばれた長い白髪を後ろに撫で付けた肉付きのいいその老人は、猟銃の先を永井の背中の穴に向け、老人たちの視線をそこにうながした。
細かい孔が密集している背中の銃創から、黒い粒子が泉の水のように湧き出し(といっても、老人たちにその粒子は見えなかった。IBM粒子は亜人にしか見えない)、永井の傷を癒していく。
それを見て老人たちは慄きながら、また数歩後退さった。永井はもう眼を開いていたが、すぐに動かず、老人たちの悲鳴から現状を把握した。座卓に突っ伏しているとうことは、後ろから撃たれたというわけだ。復活したことを悟られるまえに、永井はおおきく口を開け、亜人の“声”を使った。
永井『動くな!』
部屋に響き渡る振動が老人たちの筋肉を硬直させた。永井は弾かれたように身体をあげ、いちばん近くで固まっている山田めがけて飛びかかった。
中野が自分の首に腕を引っ掻けたのと同じ要領で、永井は老人の首に左腕を引っ掻け、肩を掴みながら背中にまわると、腕を締め付け、老人を人質にした。
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