49: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/28(土) 22:33:52.88 ID:8ENUCYV1O
車列に群がろうとする記者たちを押さえつけるのに全力を使いきった警備員や警官たちが疲労で肩を重くしていると、黒いセダンが入れ替わるようにプロダクションの駐車場にすべりこんできた。まるでさっきまでの喧騒など存在しなかったかのような運転のしかただった。その公用車はビル入口近くの駐車スペースにとまった。車から降りてきたのは、若いスーツ姿の女性とテンプルの部分がV字型の眼鏡をかけ、黒い革の手袋をした三十代前半と思しき男性で、男性の方は案内しようと呼びかけてきた巡査部長に姓が濁らないことを指摘し、巡査部長を謝罪させた。男が眼鏡の位置を直したとき、駐車場の明かりが反射してなめらかな表面をした革手袋が鋭く光った。
三人は巡査二名が警備している社員通用口を抜け本社ビルにすすみ、エレベーターに乗り込んだ。エレベーターが上昇するあいだ、巡査部長はすでに聴取した内容を眼鏡の男におおまかに説明した。眼鏡の男は大量のミントタブレットを口に入れながら、巡査部長の話を聞いていた。亜人捕獲に関する有益な情報はなく、男は話を聞きながら、亜人研究のサンプルになりうる幼少期の性格、態度、振る舞いなどを聞き出すことと、亜人発覚直後の親族の反応を観察することを目的にしようといまからおこなう聴取のプランを立てた。
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