新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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417: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 20:04:23.58 ID:4fkctst+O
>>416の前に入る文章の一つ目です。


中野「あの女の子は逃したって言ってたじゃねえか」

永井「彼女はアイドルとして世間に顔が知られてるから、長期間の拘束は僕にもリスクがある。加えて、僕は彼女の正体が亜人だということを知っている。僕がふたたび捕獲されるようなことは彼女にとっても不利益になる。この二点がおまえと違う」


 中野は復活した直後に聞かされたことを根拠に反論を試みた。それは当然嘘だったが、それに対する永井の返事は事実を含んでいた。有名アイドルの失踪事件となればメディアは騒ぎ出すだろうし、警察も動く。目撃証言や駅の監視カメラの映像を調べて足取りをたどれば、この辺りの地域で姿を消したことはすぐに発覚するだろう。それは警察が、永井が潜伏している村にまで訪れるというリスクが発生する事態になり兼ねないことだった。

 だが、このリスクはアナスタシアをスケープゴートにした際のメリットを考えれば、許容するに値するものだった。しかも永井は、このリスクが現実化する可能性はあまり高くないと踏んでいた。

 警察は、アナスタシアの失踪に事件性を見出ださないだろうと永井は考えている。アナスタシアとの会話やその表情から永井が感じたのは、現在の姉の状態にアナスタシアはひどく心を痛めているということだった。姉と面識のある人間は、多かれ少なかれ同情と心痛を抱いているだろうが、アナスタシアのそれは氷河を二分するクレバスのように深く刻まれているように思えた。このような心理状態なら、突然姿を消しても、警察は失踪を突発的な逃避行動と判断するだろう。両親や友人、プロダクションの人間が違うと訴えても、証拠がなければ警察はまず行方不明者の捜索を行わない。


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