新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
35: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/03(火) 00:49:41.70 ID:5kzXp0UHO

大声に振り向くと、慌てた様子の卯月がドアの近くに立っていた。開いたドアからは部屋のなかにいる凛と未央が見える。ふたりともテレビと美波のどちらに視線を向ければいいか、本気で迷っているようだった。卯月は美波を呼んだものの、それからさきに続ける言葉を見失っていた。

美波が不審に思っていると、部屋のテレビからアナウンサーのものとおぼしき声が聞こえてきた。臨時ニュースのようで、原稿を読み上げる音声はまだそこに書かれた文章に馴染みきっていない。さっきのプロデューサーの話し方と似てる、そう思いながら美波はドアを通った。背後から卯月の、あ、あのーー、という躊躇いが滲んだ声が聞こえてきたが、美波は足を止めなかった。テレビは国内三例目の亜人発見のニュースを伝えていた。三例目の亜人は高校生で、下校中にトラックに轢かれ死亡したが生き返ったところを大勢の人間に目撃されていた。亜人の名前は永井圭といった。


美波「……え?」


まだ通話中のスマートフォンからプロデューサーの声がもれていた。美波はスマートフォンを持った手をだらんとさせながら、テレビの液晶画面に見入っていた。同時に飛び込んできた画面のテロップやアナウンサーの声は、ーー亜人・永井圭の姉は美城プロダクション所属のアイドル、新田美波さんとの情報もあり……ーーもう美波のなかから消えていた。美波は立ち尽くしたまま、テレビに弟が映っているのはなにかの間違いではないかと思った。だがそこに映し出されていたのは、まぎれもなく美波の弟、永井圭の顔だった。

美波の弟は死んで、そして生き返った。死なない生物、亜人としてーー。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice