313: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 13:32:00.63 ID:8mPTevMeO
さてここで話は(またしても)変わって、彼のあだ名である「半分ロシア人」について説明する。このあだ名は平均的なロシア人が摂取する酒量の半分で酔っ払ってしまう体質から来ているものなのだが、ペシコフの葬式から帰ってきた祖父は、どうやらズブロッカとコリアンダー・ウォトカとジグリ・ビールさらにポート・ワインのせいで、半分どころか二倍のロシア人になっていた。モスクワ発ペトゥシキ行きの列車にでも乗り込むんじゃないか、と見る者をそう思わせざるをえないありさまだった。
アーニャは祖父の「半分ロシア人」というあだ名が好きで、祖父の方も孫娘の前では喜んで「半分ロシア人」らしく振る舞うようになった(もちろん、素面のまま)。まずはグラスを用意する。グラスを持ち上げ、酒をあおるふりをして美味そうに唇を手の甲で拭う。テーブルにグラスを戻したところでアーニャの質問。「酔っ払うってどういうこと?」。祖父はテーブルの上のグラスを指差して答える。「ここにグラスが二つあるだろう。このグラスが四つに見えだしたら酔っ払ってるってことだ」。「グラス一つしかないよ」。グラスの数を祖父に教えるとき、アーニャはくすくす笑っている。
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