301: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 13:12:16.57 ID:8mPTevMeO
医師は亡くなったばかりの少年が横たわるベッドに背を向けて言う。話を聞く看護師も医師と同様の感情を持っている。看護師は、指示を出す立場と指示を遂行する立場では、前者のほうが自責に悩むのだろうと考えている。看護師は医師に向き合う位置にいたので、ベッドとその横にあるモニターの様子が目に入っていた。彼女は生物と機械が同時に再活動するのを目撃する。心電図が驚いたように飛び跳ね、死んでいたはずの少年がベッドから飛び起きる。
中野「くそっ!」
生き返った中野の意識ははっきりしていて、自らの現状をこのうえなく理解していた。
中野「政府にバレてないのがおれの強みだってのに」
医師「生きてるぞ」
手術用マスクを外していた医師は、中野とは対照的に呆然とした態度のまま、目の前の事態に理解が追いついていない。
中野が現状に対するこれから対応に決めかねていると、自分の身体から発生する黒い粒子に気づく。
中野「じゅわじゅわ……」
中野は昨晩の帰路の途中、電車の窓から見えた光景を思い出す。海辺を通過するとき、遠くの山の麓から黒い狼煙が昇っていた。月の光も星の明かりもないのに、その黒い筋が空に上がる様子がはっきりと見えていた。
中野「あんな遠くでも夜でも見えた。普通の物質じゃない」
中野はもう一度自分の右手から放出する黒い粒子に試験を向ける。
中野「これと同じ物質」
そして、中野はとある結論に達する。
中野「あの方向に、亜人が?」
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