新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
230: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 22:22:03.17 ID:AMJLL1TVO

研究所からの騒ぎの音が聞こえなくなると、正面ゲートに陣取っていた報道陣がざわめき、ゲート担当の警備員に詰め寄った。雨ガッパを着た警備員は所内との連絡に努めているが、上司や同僚とは一向に連絡がとれず困り果てていた。警備員のひとりがトランシーバーを片手に直接中に赴くべきか悩んでいると、敷地内から車椅子を押す帽子の男が現れた。マスコミのカメラは車椅子の男と帽子の男を映し、アナウンサーがその様子を中継する。

波のように押し寄せてくる報道陣に対し、帽子の男はあわてることなくゆっくりと車椅子を押して進む。車椅子の男はこうべを垂れ、無反応をつらぬいている。


佐藤 (重要だったのは、タイミング)

佐藤 (永井圭捕獲とオグラ・イクヤ来日。多くのマスコミが一箇所に集まる、今日というタイミング)


佐藤がとまったとき、マスコミは佐藤を囲うように周囲に円をつくっていた。マスコミの質問に答えず沈黙したままの佐藤にたいし、報道陣の質問もしだいにおとなしくなっていく。やがてカメラのシャッター音くらいしか聞こえなくなったとき、佐藤は唐突に口を開いた。


佐藤「今日は一般の方々に知ってほしいことがあってここへ来ました。二つだけ、話を聞いてください」


佐藤の突発的な発言の開始に、マスコミだけでなく、テレビの前の視聴者も釘付けになる。


佐藤「私の名前は佐藤……亜人です」


美波の眼はまるで銀盤写真のように見開かれていた。弟の姿が映ってから鏡を見るときの距離でテレビの画面を凝視していた美波は、佐藤の手の動き、話すこと、それらを眼球に感光して、写真記憶として保存しようとしているみたいだった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice