新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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209: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 21:04:40.75 ID:AMJLL1TVO

佐藤「強い感情を向けられたとき、人間にもコレが見えることがある」


研究員と同じ部屋にいる幽霊が、佐藤が口にしたことをリアルタイムで再現する。


IBM(佐藤)『殺意、とかね』

研究員2「た、たす、たすけ」

IBM(佐藤)『すまない、無理だ』


研究員の命乞いを、幽霊は穏やかに遮った。


IBM(佐藤)『私はねえ……殺すのが結構好きなんだよ』


黒い幽霊の平べったい頭の先から、細長い蛇のような舌がするすると伸びてきた。舌があるということは口があり、口があるということは喉があり、喉があるということはなにかを飲み込むことができるということだ。飲み込むためには、口内のものを咀嚼するための歯が必要になり、黒い幽霊が蛇が獲物を丸呑みするときのように、顎の関節が人間よりはるかにおおきな可動を見せながら開口すると、口の中には、太く短い、獲物の肉によく食い込みしっかり噛み千切るための牙がきれいに並んでいた。


研究員2「う゛あ゛あ゛ぁ゛……ぁぁ゛……」


研究員の叫び声は通路まで、すこしのあいだ、響いた。それはほんとうにすこしのあいだで、その部屋のあたりはもうしんと静まり返っていたが、よく耳を澄ますと、ドアの隙間から、ぷちりぷちりという、弾性のあるやわらかいものがちぎれる音が、死者からのメッセージと誤解される機器の誤作動のような微かな信号みたいに、静寂のなかに溶け込もうと、しばらくのあいだ、鳴っていた。

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