106: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/03/24(金) 22:02:48.61 ID:NJ9NkxEDO
かな子「智絵里ちゃん……?」
智絵里「あっ……ごめんなさい……」
智絵里のほんとうの失言は、この謝罪の言葉の方だった。彼女たちは今回の事態に対する自分たちの位置がこのひと言で明瞭に把握できたからだ。事態の中心は美波ではなくて美波の弟で、亜人であることからその反響が社会全体まで広がっている。亜人の発見とその亜人が新田美波の弟であるという事実は水平の水面にどぱん、どぱんと立て続けに大きな勢いで石を投げ込んだようなもので、続けざまに発生した波紋はたがいに相乗して疲れを知らない波と化し、水面の面積を広げるのかと思えるほどサァーっと進む。
そういった状況において、シンデレラプロジェクトのメンバーたちの位置は微妙なものだった。彼女たちは中心からひとつ隔てられていて、水の下に潜り込むとか、とにかく回避に専念してしまえば波に攫われてることもなさそうだった。未成年の個人や少人数の集団が、社会的な問題に巻き込まれている人物とどうコミットするか、というよりコミットが可能なのか、李衣菜がおずおずと意見を出した。
李衣菜「やっぱりさ、余計なことはしないほうがいいんじゃない?」
みく「美波ちゃんのことが心配じゃないの!?」
みくは驚きながら、李衣菜に声で詰め寄った。
李衣菜「心配に決まってるじゃん!!」
李衣菜は叫んで反論した。
李衣菜「でも、わたし、美波さんになんて言えばいいえのか全然わからない。弟が亜人で、日本中から追われてるんだよ? わたしは亜人のことなんてなにも知らない、美波さんがどんな気持ちでいるのかもわからない」
みく「だからそれは、心配で不安でしかたなくて……」
李衣菜「そんな言葉で気持ちがわかるの?」
李衣菜の問いに、答えることは誰もできなかった。
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