4:名無しNIPPER[sage]
2016/12/27(火) 23:04:13.53 ID:5fWPT/pn0
01
事務作業を終えると間を空けず秘書艦が入ってきた。
黒い髪のサボっていた女。
こいつノックもせずに執務室に入るような適当な人間である。
女は背もたれを抱えるようにして椅子に座る。
おしとやかさの欠片すらない。
苛立ちも込めて僕は彼女に抗議することにした。
「サボりは楽しかったかな、なあ北上」
「全然、馬券は負けた。車券もパア、あとはスロの【安価】でも打つかだけど」
こいつ、と思うと彼女は言った。
「いい時代だねー、ネットで買えるもん」
そのままポケットからタバコと携帯灰皿を出す女。
古びたターボライターを取り出すなり火を付ける。
「…煙い」
「いいじゃん、それくらい」
北上はそうカラカラ笑う。
咎める気にもならなかった。
彼女はサボっていた。
だが、自分の仕事は終わらせている。
この北上が追加の仕事をするようなマメなタイプではない。
見れば分かる。また揉めたくもない。
この女の自艦隊内での立ち位置が微妙なことを考えると、
まともに相手にするのは面倒だった。
僕は最後の書類にハンを押すと、執務を終えることにした。
「お、終わり?」
目ざとく彼女は僕を見る。
「なんだ」
「外食にでようじゃないか、提督」
「給食があるだろう」
「つまんないねー。固い固い」
と彼女は煙の輪を吐きつつ言った。
「自室に戻る」
これ以上会話する気もなかった。
そう北上に言うと、女はタバコを手にした手を振りつつ言った。
「おー。んじゃ、また明日」
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