273: ◆3em28n6/NM[sage saga]
2017/12/31(日) 22:44:53.55 ID:tgL1bz3k0
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智美「じゃあ、次は私たちだ」
ゆみ「モモ、打つぞ」
桃子「はい!三麻っすか?」
智美「人数足りてるのにそれもなー……よし、むっきー入ってくれ」
睦月「はい」
ジャラジャラ……
佳織「ふう……暑いねー」
マホ「……妹尾さん。ごめんなさい」
佳織「? なんで?」
マホ「さっきまで、その……妹尾さんのこと、『マホと同じ』初心者さんだと思ってました」
佳織「?同じかどうかは分かんないけど、私はまだまだ初心者だと思うよ」
マホ「妹尾さんは……マホみたいな初心者じゃありません。凄く運が良いのに、それだけに頼らない……マホとは全然違う」
佳織「……」
マホ「最後の局……マホは頼りました。自分の『真似』に。宮永先輩の強さに。そして……失敗しました。
妹尾さんは、マホとは真逆……。増えたカンドラを見てすぐ、役満手を崩してテンパイしました」
何も考えずに能力に頼ったマホ。状況の変化にも柔軟に対応して、与えられた幸運を有効に使った佳織。
佳織「……私だって、『幸運』ありきだよ。役満も作れるような恵まれた配牌だったからこそ、鳴いても捲りきれたんだから」
マホ「いいえ……妹尾さんは、幸運を力にできている。
それに比べてマホは、ただ真似してみただけです。嶺上牌で和了れる確信も無かったのに……」
和が言っていた。安直なカンはかえって損をする……と。マホの損は、相手のドラを増やしただけではない。
「嶺上開花ならず」……その宣言はテンパイを教えるようなもの。佳織に、早和了りを目指す理由の一つを与えたとも言える。
マホ「あんなの、ゼロどころかマイナスです。失敗ばっかりするぐらいなら、真似なんてしない方が……妹尾、さん?」
佳織「うん、ちょっと待ってね……」
佳織がゴソゴソとバッグを漁っている。
佳織「ん……あ、あったあった」
マホ「……これは……」
佳織がバッグから取り出したのは、数冊のメモ帳だった。
佳織「夢乃さん。失敗するのって、そんなに悪いことかな?」
マホ「え……?」
佳織「ううん……もちろん、絶対に失敗しないなら、それが一番良いのかもしれない。
でも、私は失敗から多くのことを学んできたと思う」
マホ「失敗から、学ぶ……」
佳織のメモ群に目を落とす。もうだいぶ使い込まれたあとのようで、角が少しすり減っていた。
佳織「これね、私が失敗する度に……智美ちゃんや加治木先輩なんかが、色々教えてくれたの。
それを、忘れたくないから……こうやって、メモしてって……」
一つ一つを開く。チョンボと罰則について、和了率を上げるためにどんな打ち方をすればいいか、オリる基準は……。
それらのほとんどが、佳織自身の失敗例から綴られていた。
佳織「失敗は成功のもとって言うでしょ。同じ失敗を繰り返すこともあるけど、それはもう一回反省すればいいだけ。
私は、そうやって成功に……前に向かって進んで行くんだと思う。だから、夢乃さんも失敗を怖がらなくていいんだよ」
マホ「……そう、ですね。失敗しても、くじけてちゃ……ダメですよね!」
佳織「うん!そう……今回の失敗から、また一つ成長できた……そんな風に、プラスに考えていけばいいんだよ」
マホ「じゃあ……妹尾さん!次こそ、負けませんよ!」
佳織「ふふ……お手柔らかに、ね?」
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