264: ◆3em28n6/NM[sage saga]
2017/12/31(日) 22:36:05.77 ID:tgL1bz3k0
二日目、宿にて
マホ「ふあぁ……おはようございます、せんぱ――って、なんですかそのクマ!?」
京太郎「……おはよう、マホちゃん。ごめん、もうちょっとトーン下げてくれないかな……」
寝不足の頭に、マホの高い声がガンガン響く。
京太郎「昨夜は、あまり寝れなくて……」フア
マホ「……またですか」
京太郎「また……まあ、まただな。大丈夫、慣れてるから」ニヘラ
相手を安心させる笑いを心掛けたつもりだったが――マホは、表情をさらに暗くしただけだった。
マホ「先輩の普段の生活が、不安です」
京太郎「……さすがに、いつもこんなクマ作ってるわけじゃないから。いやほんと、普段は寝てるって」
マホ「……今日は、どのくらい寝たんですか?」
煙に巻こうかと思ったが、マホの真剣な顔を見てやめた。
京太郎「寝てない」
マホ「えっ……」
京太郎「寝てないんだ、昨夜は……全く眠れなかった。……なんでかっていうと、」
言葉を切って、頭を少しだけ働かせる。
京太郎「昨日、東横さんに負けたのが……結構ショックだった、というか。なんか、落ち着かなくてな……」
マホ「……」
マホの労るような視線に、申し訳ない気持ちになる。なんとか空気を変えられないものかと、声を明るくする。
京太郎「でも、おかげで東横さんと打つ算段はついた……一晩中、考えて。マホちゃんはどう?」
マホ「マホは……一応、考えてはきました。忘れないように、メモってます」
京太郎「忘れないように、な……」
マホの言葉を反芻して、今まで後ろに隠していた左手を出す。
マホ「あ、それ……」
京太郎「俺もな、買ったんだ。つい昨日」
京太郎の手はそのメモを包み込むように――否、握り締めるように持っていた。
マホ「……あまり、無理はしないで下さいね」
京太郎「……ああ。わかってるよ」
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