165: ◆3em28n6/NM[saga]
2017/01/26(木) 15:21:36.15 ID:YrfCuXWK0
――――
衣(よし、この感覚……。二人の手は『支配』の中だな)
純に鳴かれて、衣のツモが飛ばされることはもう無い。加えて、それ以上に厄介なのは咲だった。
衣(支配する領域が違う、というだけでも衣にとっては難敵だが……。
衣の咲との相性の悪さはそこだけではない)
――それはずばり、カンそのものだ。
支配の及ばない所から牌をツモられるカン――特に暗カンを、衣は止めることが出来ない。
衣(何故なら、衣の支配をすり抜ける物には王牌だけでなく――
槓材における『四枚目』の存在も含まれるからだ)
例えば周りの牌が無い牌(特に字牌)の刻子が手にある時、その同名牌――すなわち『四枚目』は、
有効牌ではない。衣の力は有効牌を相手に引かせないが、『四枚目』は引かせてしまうのだ。
衣(もちろん元々引ける確率は低く、仮に引いても、嶺上に都合良く有効牌がなければテンパイは叶わない)
だが咲は、その両方を可能にする。
槓材を集め、嶺上を支配する――衣にとって、これほど闘いづらい相手もそうはいない。
衣(しかもこの『四枚目』は感覚的に察する事もできない。
だから須賀の加カンも読めなかった訳だが……)ジッ
対面を注視。――咲の表情は、あまり明るくない。
衣(……咲は、けっこう分かり易いからな。
この点に於ては、あの男のポーカーフェイスは大した物だった)タッ
トッ……タン……
今や、場は完全支配――ポン・チーは誰にもさせない。後は咲をマークし続けるだけだ。
衣(……さて、脅威となる対象はほぼ封じたが)チャッ
トップとの点差、17300。
衣(咲から跳満を出和了る、というのは流石に傲慢が過ぎるか。倍満ツモが最も確実だな)
そして最後に衣は、マホを見遣り――すぐ咲に視線を戻す。
衣(こいつの模倣が成功するのは、多くとも一日の内、一人分を一局が限度。
咲の模倣はつい一局前に見たばかりだ。隙を突かれることは無いだろう)パシッ
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