京太郎「俺たちの……」マホ「可能性……?」
1- 20
155: ◆3em28n6/NM[saga]
2017/01/26(木) 15:15:19.75 ID:YrfCuXWK0
ポンする前、京太郎の手牌には『両嵌(リャンカン)』と呼ばれる形――すなわち四・六・八索が有った。

マホ「先輩が言った通り、嶺上牌なら有効牌がある可能性はあった……。
なら、テンパイする可能性を少しでも上げるために、八索がある時にカンしていれば……」

そのチャンスは二回有った。京太郎がポンをした時と、ポンをした次の巡。

マホ「四索と八索のどっちを切るか、っていう選択肢なら分かります。
あの時先輩の視界からは五索は全山で、七索は二枚切れでしたから。でも……」

そもそも、そのどちらかだけに絞る必要は無い。

マホ「両方を待てる時にカンしておけば、テンパイ出来る確率は上がっていた……。
というか、実際テンパイ出来ました。どうしてそうしなかったんです?」

京太郎「……うん、ほとんど分かってるな。素晴らしい質問のしかただ」

マホ「……先輩が最後に引いた牌が、七索じゃなきゃ気付きませんでした」

京太郎「正直だな、っていうか皮肉か?じゃあ理由を言おう。……俺はあの時、自分のツモを信じてなかった」

マホ「えっ……?」

京太郎「まあ聞け。あの時は自信満々に有効牌を引くなんて宣言したけど、
元々そんな保証はどこにもなかったろ?……咲じゃあるまいし」

マホ「じゃあ、先輩はそもそも、どうやって勝つつもりだったんですか!?」

京太郎「実に良い質問だ。俺が一番期待した物、それは……天江さんのリーチだ」

マホ「リーチ……?」

京太郎「あぁ。天江さんにとって、海底は代名詞みたいなもんだ。咲の嶺上開花と同じだな。
もちろんそれだけじゃない。他家を一向聴からそれ以上進ませない、って能力の方がよっぽど凶悪だ」

マホ「……でも、海底は天江さんにとって『特別』だと?」

京太郎「天江さんがどう思ってるかは知らないけど、少なくとも自信はかなり有るみたいだ。
……その自信の表れが、十七巡目のツモ切りリーチ。リーチ・一発・ツモ・海底で、役無しでも最低四飜は付く」

マホ「……でも、だからってあの点差でリーチは……」

そう、普通はかけない。実際に衣も、リーチをかけずに手変わりを狙い、海底もそのままツモろうとしていた。

京太郎「昨日の対局、俺が天江さんにボッコボコにされた時。
あの時の天江さんは、逆の意味で『普通はリーチをかけない点差』からリーチをかけてきた」

華は衣が飾ってやろう、とかなんとか言って、お得意のリーチ・一発・海底ツモで数え役満を和了った。

京太郎「あれは舐めプだ。どんな安手でも俺を飛ばす事は出来た、にも拘わらず天江さんはリーチをかけた。
……俺は今回、それを期待したんだよ」

マホ「……だから、最後の一巡まで加カンをとっておいたんですね」

京太郎「あぁ。あの瞬間、他二人が張っていない限り、俺はノーテン罰府で逆転される状況だった。
でも天江さんがリーチをかけてくれれば、その時点で点差が4400になる。あとは加カンで和了りを防げば逃げ切れる」

マホ「なるほど……でも、天江さんはリーチをかけませんでした」

京太郎「そこは単純に俺の読み違いだったな。海底を狙うように誘導する所までは上手くいったんだけどなぁ。
しかも、そっちに賭けずに自分のツモを信じていればテンパイは取れたんだから、分からないもんだ」

ただ、と京太郎は続ける。

京太郎「早い段階でカンをしてたら、天江さんに海底を狙わせる事は出来なかった。
……その時点でズレるからな、海底牌が」

マホ「……やっぱり、凄いです。マホ、そんなにいっぱい考えて打てません……」

京太郎「ま、そこはこれから伸ばしていけば良いさ」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
360Res/314.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice