勇者「救いたければ手を汚せ」 
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75:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 01:07:42.98 ID:tRPk/B7zO

兄は涙をぐっと堪え、泣き出す妹の手を握り走り出した。

オークを抑え込んでいる父も、穏やかな顔で笑っている。

腕を噛み砕かれているにも拘わらず、僅かでも安心させるように笑って見せた。


「走るぞ。走るんだ」


少年は父を見て一度立ち止まったが、母の言い付け通り、振り向かずに走り出そうとした。

しかし、妹がへたり込んで動かない。

隠れる場所がないかと辺りを見回すが、灰色の怪物がそこら中を彷徨いている。

既に数体が、兄妹の姿を捉えている。

少年は妹を引っ張るが、ずるずると引き摺られるばかりで、立つことが出来ない。

化け物は、もう其処まで迫っている。



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