勇者「救いたければ手を汚せ」 
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74:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 01:05:33.86 ID:tRPk/B7zO

しかし、何もかもが遅かった。

オークの鉤爪が母親の服を引き裂き、背中の肉を抉る。

大量の血飛沫が壁を染めた。

母は、それでも子供達を抱き締めた。悟られまいと、必死に声を圧し殺して。

いよいよだと意を決して、父は扉を塞ぐオークに思い切り体をぶつけた。

僅かに怯んだ隙に、普段の彼らしからぬ声で、子供達に急いで逃げるよう叫ぶ。

母はゆっくりと腕を解き、二人の我が子に微笑みかけた。


「先に行きなさい。大丈夫、大丈夫よ。父さんも母さんも、後から行くから」

「振り向かないで走るの。さあ、早く」



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