236:名無しNIPPER[saga]
2016/12/20(火) 23:45:21.09 ID:IIiBXkp6O
『おい、こっちだ化け物。獲物はこっちだ』
『ほら来いよ。掛かって来い。そうだ、来い。脳味噌ぶちまけてやるから覚悟しろデカブツ』
隊長と部下の方々が怪物を引き寄せている間に、私は彼を引き摺って物陰へ。
何とか身を隠すことが出来たので一安心していると、私の目を見ながら彼が言いました。
『無事だったか』
息も絶え絶えで痛みも酷いでしょうに、しぶとく笑いながら言ったのです。
私には返答する余裕など一切なくて、急いで服を破いて止血しようとしました。
けれど損傷が酷すぎて血は止まらず、切断面からは血が流れ続けていました。
何度も何度も魔力を練ろうとしたけれど、何かが邪魔して魔術を使えません。
紫色の蛇のような雷が彼の身体を這い回っていたので払い落とそうとしましたが駄目でした。
医療術も使えない私には、彼の手を握るくらいしか出来ません。
彼は眠たそうな顔で空いた手を伸ばすと、私の頬にそっと触れながら
『自棄酒はするなよ?』
と言って微笑みながら、眠るように目を閉じました。
674Res/446.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20