196:名無しNIPPER[saga]
2016/12/16(金) 02:22:11.27 ID:NG5ps7hHO
だが、止まった。
何故だか分からないが、ごぼごぼと泡だった血を吐きながらゆっくりと倒れる。
それと同時に、オークの背後にいた人物の姿が露わになった。
姿を現したのは斧を持った大柄の男。嘗ての患者であり、彼女の思い人。
「無事か」
「……何で、あなたがここに」
「話している時間はない。立てるか」
「その、腰が抜けてしまって。申し訳ありませんが、手を貸して頂けませんか……」
夢ではないかとも思ったが、差し出された手には確かな体温があった。
ぐいっと手を引かれ立ち上がると、彼はすぐに背を向け出入口へ向かって歩き出した。
その背中を頼もしく感じながら、同時に頬が熱くなるのを感じた。
握られた手には、まだ彼の体温が残っている。
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