163:名無しNIPPER[saga]
2016/12/11(日) 00:41:57.02 ID:qKo0UXK4O
助ける命は一つだけと、とうに決めていた。
この命を差し出しても助け出すと決めた女がいる。
彼女さえ救えたら、この身がどうなろうと構わない。
その後であれば、あの灰色の化け物に何をされようと構わない。
「見捨てるつもりか糞野郎ッ!畜生!地獄へ落ちやがれ!!」
「待って!助けてッ!この人でなし!!」
「頼む!行かないでくれ!助けてくれッ!!」
背中に数多の呪いの言葉を浴びせられながら、目的地に向かって走り続ける。
(皆、すまん。俺は後から逝く。そこが地獄だろうが喜んで逝く)
(ただ、もう少しだけ待ってくれ。俺には、やらなければならないことがある)
心中でそう呟きながら、彼は走り続けた。
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