144:名無しNIPPER[saga]
2016/12/06(火) 00:40:04.66 ID:uyYIQu6tO
「(……勇者)」
対応に追われる兵士達の足音を聞きながら、希望の母である聖女は、不自然な程に明るい部屋でじっと目を閉じていた。
地下施設へ転移してから一時間ばかり経過したが、彼女はずっと息子を思っていた。
現在起きている出来事は、世界の危機であると同時に家族の問題でもある。
夫である戦士が絶望の依り代となったあの日から、覚悟は出来ていた。
数年後か数十年後かは分からないが、どんな形であれ、この日が来ることを知っていた。
息子が生まれ、夫と息子が希望と絶望に別たれてから十二年。
長く保ったのか、それとも短かったのか、その判断は出来ない。
ただ、自分の夫と息子が互いの存在を消し去る為に戦うことだけは変わらない。
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