126:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/28(月) 12:45:54.88 ID:7ElujT9zO
「(対価について文句はない。このくらいなら我慢出来る。うん、大丈夫)」
「(……てか、久し振りだねって何だ。何であんなこと言ったんだろ)」
「(馬鹿か私は、今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ。しっかりしろ)」
ニ度三度頭を振り、何とか気持ちを切り替えようとするも、想いは燃え上がる。
堰を切ったように溢れ出したそれが心を染め上げ、瞬く間に魔女を支配していく。
「魔女?」
己の体を抱いたまま小刻みに震える魔女。その様子を見た勇者が声を掛けた。
胸の鼓動が跳ね上がる。
その声を聞いただけで、どうにかなりそうだった。
これまでは、一度たりともこんなことにならなかった。
異性として勇者に好意を寄せているのは認める。しかし、これは一体どうしたことだ。
想いを失うどころか、恋慕の情は増すばかりではないか。
「(そっか、そういうことか)」
「(もっと好きになって、もっと後悔しろって、そう言いたいわけだ)」
「(死ぬまで、この想いを抱いて生けってわけだ)」
「(でも、大したことない。こんなの、全然大したことない)」
「(失うよりは、ずっといい)」
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