33:名無しNIPPER
2016/11/20(日) 23:08:49.88 ID:qJIGiTwi0
「じゃあ、俺はまゆのとこにお見舞いに行ってくるから」
「あ、行ってらっしゃいー」
「気をつけて」
「ああ…」バタン
「………」
「………」
あれ以降、なんだかこのルームの空気が少し重くなったようだった。
紗南は相変わらずゲームに夢中だが、ありすがそわそわと常に落ち着かない様子になっていた。
「…大丈夫だよありすちゃん。Pさんは強いし、体も丈夫だし」
「橘です。…今日はそうじゃなくて、ですね」
「なにか予定でもあるの?」
「…っ、まあ、そうです。気にしないでゲームしててください。こういう時だけ気を遣われても困ります」
「それもそっか」
紗南は再びゲーム機に目を落とす。
楽観的なものだ、つい先日、怪人と戦った張本人だというのに。
「…紗南さんは、あれ、なんとも思わなかったんですか?」
「あれ?」
「先日の、騒ぎです。誰も覚えてませんけど」
「ああ…うーん、やってる間はさ、ただゲームをしてる感覚だったんだよね。特に違和感とか、おかしいなとか思わなかったし、今でもそんな感じ」
「…それって、おかしくないですか。いや、もう全部おかしいですよ。あの騒ぎを私たちしか覚えてないことも、そもそもあのガシャットは誰が持ってきて、私たちのルームの前に置いたんですか?」
「確かに気になるけど…気にして分かることだったら苦労はしないよ」
紗南はゲーム機をパタンと閉じる。
紗南のその行動の異常さは、ありすもよく知っていた。
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