志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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67:名無しNIPPER[sage]
2016/12/30(金) 17:06:04.15 ID:OEZz3EVp0

がたり、と椅子から勢いよく立ち上がったアタシはそのまま急いでクローゼットから服を引っ張り出し、それから、厚手の帽子を深くかぶった。

――どうして、もっとはやく気づかなかったんだろう。

朱色のマフラーを首に巻いて、玄関口のノブに手をかける。土曜日の朝にしては慌ただしく、がちゃがちゃと鍵をかけて、ズボンのポケットに無造作にしまい込むと、いてもたってもいられずアタシは走りだした。

――アタシは、今まで、アタシ自身を知らなさすぎたのかもしれない。

あの日、アタシはラボで才能が消えてしまったことに気が付いた。
そしてそのまま、今日までの日を無為に過ごしてしまった。こんなにも近くに答えがあったのに。
もしかすると、あまりにも近すぎて、意識の外にあったのかもしれない。

キョーミのあることなら、どんなことにでも手を出してしまう性格で、ギフテッドだったころのアタシがやりそうなことを。

どうして、それを考えることが出来なかったんだろう。


――アタシが“一ノ瀬志希”を実験台に使ったんだってことを。





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