志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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66:名無しNIPPER[saga]
2016/12/30(金) 17:04:40.26 ID:OEZz3EVp0

きっかけは、家で着ていた白衣の裾に、淹れ立てのカモミールティーをこぼしたときのことだった。

寝不足のまま飲もうとしたのが誤りだったんだろうね。テーブルの上に置いたお気に入りのカップを持ち上げようとした矢先、それはするりと手元から滑りおちて、ぱしゃりとたちまちのうちに白い布に染みを作った。

それはオフの日の朝に起きた、ほんの些細な出来事でしかなかった。

けれど、白衣、そして、カモミールティー。この二つに妙な違和感を抱いたアタシは、腕を組んで顔を顰めた。

なにかが頭で引っかかっていた。とても、とても大事なことが。とうの昔に忘れてしまっていた、大事なことが。

両手を握りしめて、意識の全てを頭に集める。

……そうだ。
アタシがはじめて才能消失に気付いた場所、それはどこだっただろう。
白衣を着て、カモミールティーを飲んでいたのは、どこだっただろう。
違和感が、アタシのすべてを壊してしまったのは、どこだっただろう。

「――ラボ?」

ぼそり、と独り言がこぼれ落ちた。




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