志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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46:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 17:17:23.54 ID:1UtNLpHa0

ぐらぐらと歪んでいく視界の端に、彼の顔が微かに見えた。

「ギフ、テッド……」

息苦しくなった体が、酸素を求めていた。思考が追い付いていない。気を抜けば、このまま足元から崩れ落ちそうだ。

それから、ほんの数秒の間が生まれた。なにも言わず顔を俯かせたアタシに「でもな」と前置きをして、彼は椅子に背中を預けた。

「俺はこの話、断ろうと思っているんだ」

アタシは目を見開いて、湯気の立たないコーヒーを一口だけすする彼を見た。そんな彼に「どうして」とは言えなかった。
その代わりに、彼はそんなアタシの目をまっすぐに見つめ返して、「……ここずっと、調子が悪いんじゃないのか」と続けた。


そっか。そうだったんだ。
彼は、きっと、アタシのことを分かったつもりだったんだ。
また余計な気をまわして、アタシのことを理解した気でいたんだ。


だから、彼は何かを諦めたような表情でそんなことを言ったんだ。


アタシが、いちばん言ってほしくないことを。彼は平気で言ったんだ。





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