季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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6: ◆MhRo2YnWE.V/[saga]
2016/09/28(水) 12:56:53.15 ID:MuKRWnx20
 俺は身体を反らせて、カバンの中に入れておいたアレを取り出す。
 なにごとかと顔を上げた幸子に、軽く片手で手渡した。

「ほい、どうぞ」

 受け取ってから、きょとんとした顔をしている幸子。その手にあるのはプレゼント用にラッピングされた、紙袋。サプライズの甲斐があるというものだ。
 丸くした目を俺と紙袋を交互に向けて、なんだか笑いをこらえているような顔で口を開く。

「私の誕生日、まだですよ」

「そうだったかな? 忘れちゃった」

「……じゃあ、別カウントですからね」

「がめついな、君は」

 幸子の声は弾んでいる。紙袋を急いでがさがさと開けはじめた。中に何が入っているのか気になって仕方ない様子だ。
 袋の中身は、薄く赤みがかった白のマフラーだ。
 気の早い、冬物を扱う店で見かけて、彼女に似合うかな、と思ったら何となく買っていた。
 すぐに幸子はマフラーを首に巻いて、その手触りと暖かさを確かめるように、やわらかに撫でる。

「……ありがとうございます。とても嬉しいですよ」

「どういたしまして。うん、よく似合ってる」

 こんな風に、彼女が素直にお礼を言えるようになったのは成長だな。照れてお礼だか自慢だかよくわからない言葉をまくしたてる幸子も、カワイかったけどね。
 ……俺もな、こうしてプレゼントを受け取ってくれて、喜んでもらえるのが嬉しいよ。
 なんちゃって。


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