季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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4: ◆MhRo2YnWE.V/[saga]
2016/09/28(水) 12:52:25.78 ID:MuKRWnx20
 ……幸子が引退してから、もう一年は経つのか。
 だから彼女はこうして、難関大学への入学を目指して日々勉学に励めているわけだ。
 そんな彼女に、俺はこうして今もたまに……いや、割と頻繁に会っている。短い時間でも、週に一回、多いときは二回、三回。
 いいのかな、とか思わないでもないんだが。すでに、引退した幸子は過去の人となっている。業界の流れは今もまだ加速中だ。だから、こうして二人でいても、誰かに騒がれることもない。それはありがたい。

 けれど。
 アイドルでなくなったはずの彼女は……今のほうが、綺麗だ。
 恥ずかしいから言わないけど。

 やっぱり引退は早かったかな。そんなことを思えば、普段は忘れたフリをしている疑問が湧き上がってくる。

 どうして突然、やめる、なんて言い出したんだ?
 ……結構ショックだったし、傷ついたんだぜ。でも、こうして会っているくらいだから、俺を嫌いになったってわけじゃないんだよな。
 みんなも一生懸命説得した。俺も止めた。お前となら、いくらでも上に行けるって思ってた。でも。

「……んー……。ここで使う公式は、なんでしたっけ……」

 俺の内心も知らぬ気に、幸子はノートに書き写した数式に集中している。長いまつ毛の下の大きな瞳。すっきりしたあごの下に、シャープペンシルをくっつけている。……随分と、髪も伸びた。


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