季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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2: ◆MhRo2YnWE.V/[sage saga]
2016/09/28(水) 12:48:30.27 ID:MuKRWnx20
「俺も勉強しようかな」

「そんな必要、あなたにはないでしょう」

 幸子は顔を上げることなく、問題集に目を落としたまま返す。数学。特に覚えていない教科だった。
 使わない知識は忘れてしまう。だから勉強は無駄なのだ、などと思うのも子供っぽい。むしろもったいないことをしたというのが、俺ぐらいの年齢の考えだろう。
 大人の仕事と人生には、教養はいくらあっても足りない。

「俺も勉強すれば、幸子の輝かしき学生生活にもっと貢献できるかと思ってさ」

 そんな俺の健気な言葉に、幸子は少しだけ目を動かして、ちょっと馬鹿にしたように笑う。

「余計なことは考えなくていいんです。こうして、私と気をまぎらわせるおしゃべりをしてくれていれば」

「俺はお前のラジオかよ」

 ずいぶんな言われ方だったが、俺は大して気にしなかった。幸子の言い方が、エラそうなのはいつものことだ。
 そしてそれは、彼女の信頼の証でもあった。これくらいの軽口を許してくれるだろう、というかわいい甘えだ。


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