90:名無しNIPPER[saga]
2016/09/23(金) 19:24:07.67 ID:k6JYsKoh0
魔手から逃れたとみるや、闇霊はその俊足を活かして森の中を駆けた。
そしてコブラが通った道に出ると、道筋にそってまた走り、コブラの裏を取った。
足音が出ないという霊体の利点を最大限に活かした、単純だが優れた戦略だった。
ドスッ!
ビアトリス「あっ!」
戦士「!!」
闇霊の持った短刀が、コブラの背中に深くめり込む。
傷口から即座に流れ出す血が、傷口の深さを物語る。
闇霊「ヒ、ヒヒヒッ!馬鹿な野郎だぜ。脅すだけ脅して逃すとは、そんなヤツは初めて見たぜ!」
戦士「クソッ!言わんこっちゃない!」シャリン
コブラ「よしなよ」
戦士「!?」
闇霊「なに!?」
コブラ「思った通りだぜ。やっぱり俺は狙われているらしい」
闇霊「な……何故だ?…何故死なない!?どうして生きてるんだ!?」
コブラ「死なない奴らを相手に強盗を働いていたヤツの台詞じゃないぜ。アンタはむしろ、自分の無謀さに驚くべきだ」
背中にナイフを刺したまま、コブラは振り向くことなく闇霊に話しかけた。
必殺の一撃を受けてなお、怯むどころか語りかけてさえ来る男に、闇霊は恐怖を感じざるを得なかった。
闇霊「ばっ、化け物だーーっ!!」
再び踵を返して逃亡を謀る闇霊に…
ドガァーーッ!!
それこそ必殺と言える、恐るべき一撃が叩き込まれた。
驚異的な膂力で振り抜かれた黒騎士の特大剣は、闇霊の胴体を一刀両断し、二つの闇霊だったものはビアトリスの両横を掠め、消えた。
ビアトリス(なんという……これでは滅茶苦茶だ…)
ビアトリス(この男、本当に人間か?外見上は確かに人間だが…)
ビアトリス(………まさか、太古の神々の末裔?手に持つ大剣も、伝承にある神々の遣いが振るったという剣に似過ぎている)
レディ「貴方の心配が本当に当たってしまったのね」
コブラ「みたいだな。アイツは襲えるヤツなら誰でもよかったと言っていたが、そうじゃない」
コブラ「本当に誰でもいいなら、俺ではなくあそこに居る彼女を狙ったはずだ。二人の仲間を引き連れた俺ではなく、より反撃される危険が少ない彼女をな」
コブラ「だが俺を殺すために派遣された専門の殺し屋でもなかった。おそらく、どこかで俺の首に懸賞のような物を掛けたヤツがいて、その懸賞欲しさに、偶然出会った俺に剣を向けた……大方そんなところだろうな」
レディ「懸賞って……貴方、もうここで懸賞を掛けられるような事をしたの?」
コブラ「さあね。デーモンとドラゴンに遺族でもいたんだろう」
ビアトリス(いや、古き神々ではなさそうだ。話が俗っぽすぎる)
ビアトリス(それとも、私の神々への神聖視が過分に過ぎているだけなのだろうか)
ビアトリス(頭の硬いヴィンハイムの学徒共に、少々毒されているのやもしれんな…)
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