89:名無しNIPPER[saga]
2016/09/23(金) 09:36:12.07 ID:k6JYsKoh0
コブラ「それじゃあ質問を変えてもう一度だけ聞く」ジャキッ
闇霊「ひぃっ!?」
コブラ「金色の悪趣味な鎧を着た騎士はどこだ?素直に言わないと、この大剣を持つ手が気まぐれを起こしちまうぞ」
闇霊「しっ…知らねえ!俺は何も知らねえ!!」
コブラ「………」ブオン!!
闇霊「あっ」
ピタッ
闇霊「……えっ……?」
ビアトリス(お優しい事だな)
コブラ「行きなよ。小者に用はない」
戦士「おい!なんで逃すんだ!?」
コブラ「なんでかって?気分じゃないからさ」
コブラ「こいつの魂が俺の中に入って血となり肉となるんじゃあ、まるで食人鬼にでもなってるような気がしてくるんでね」
戦士「そんな事をどうでもいいだろう!?ここまで来て今更そんな事言うなよ!」
コブラ「それはアンタの問題であって俺の問題じゃない。コレは俺の問題なんだ」
コブラ「ホラどうした!さっさと行かないと本当にとって食っちまうぞ!」
闇霊「ひえーっ!!」ダッ
戦士(知らねえぞ…後でどうなったってよ…)
コブラ「あらあら、もうあんな所まで逃げちまいやがった」
レディ「あれだけ脅かせばもう襲ってはこないでしょうね。賢かったらの話だけれど」
ビアトリス(甘いな……)
ビアトリス(奴らに恐怖はあっても、諦めの文字は無い。必ず戻って来るぞ)
コブラ「そこのお嬢さんも出てきたらどうだい?」
ビアトリス「!?」
コブラ「なぁに、さっきアイツに言った言葉は冗談さ。こっちに来て見てみるといい。狼の耳も生えてやしないぜ」
障害物を隔て、しかもコブラとの距離は少なくとも20メートル以上は離れているというのに、コブラはビアトリスを探知していた。
もっとも性別までは特定できていなかったが、それに関しては、コブラの願望が反映されていた。
彼の旅路にとって最も必要な要素である『現地の美女』という願望が。
ビアトリス「いい勘をしているな。隠れる事に関しては自信があったのだが」スッ
コブラ「なんせコブラと呼ばれてるんでね。アンタみたいな美人に対する俺の感度を舐めてもらっちゃ困る」フフフ…
戦士(何ニヤついてやがんだ!それどころじゃねえだろ今は!)
ビアトリス(よくもまぁ……歯の浮くような台詞を堂々と言えたものだ…)
ビアトリスの中に芽生えつつあった警戒と尊敬の念は、闇霊を逃したことも相まった、コブラのあまりに能天気な雰囲気の前にたやすくかき消された。
とうのコブラ本人は呆れられているとは思っていないが、案内役の男の焦燥が頂点に達しつつある事には気付いていた。
そして気付いた上で面白半分に無視していたが、男の焦燥の元は早くも現実の物となる。
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