【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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631:名無しNIPPER[ saga]
2019/10/25(金) 07:07:30.63 ID:JyVx6aTo0
ベルカ「もうよい。今更自明を語るなど、汝の魂胆も見え透いている」

ベルカ「しかし、この罪の女神を策で飲み込もうと、汝を待つのは仮初めの政を束ねる席にすぎぬぞ」


法官「何を仰っているのか分かりませんな。私はただ、月の血筋を真の支配者に立てるのなら、太陽は良い隠れ蓑になると言っているだけです」



ベルカ「なっ…!?」


コブラ「へっ、傀儡政治かぁ」



法官「気付かないとでもお思いでしたかな?」

法官「大王も、その御子息も、大いなるソウルを得て竜を破りはしましたが、竜に心を奪われた。そして人間にも屈し、長子は自ら去って末娘は棄てられ、残っている太陽の子は人の貧者を救うことにかまけているグィネヴィア様のみ」

法官「実のところ、貴女もすでに分かっているのでしょう?太陽は弱い。冷たい月こそが人を縛り、神を支えるに足る血筋であると」


ベルカ「な…何を世迷いごとを…」


法官「世迷いごとではありません。貴女こそが正しいのですよ」


ベルカに背を向けたまま法官は話を続ける。
コブラは、今まさにベルカを陥れようとするクリスタルボウイへ向け歩き出し、祭壇を回り込み、祭壇を挟んで法官と対峙した。
そしてコブラは、ベルカからは見えぬ法官の手元に、アルトリウスへと渡された銀色のペンダントを見た。


法官「アノール・ロンドに残った太陽の子らは僅かに一柱。しかし月の血筋の者は、大王の妻である太陽と月の女神を含めて、四柱も残っている」

法官「そして篝火の薪となる大いなるソウルは、月の女神にも流れている。ならばもはや薄れゆく一方となった太陽の血筋よりも未来ある月の血筋を取るのは、薪に頼る身としては当然の判断でしょう」


ベルカ「………もはや是非も無い…」

ベルカ「全てはアノール・ロンドのため…世を照らす炎のために…」


法官「分かっていますとも。だからこそ私は、貴女をお支えしたいのですよ」


慰めの言葉とは裏腹に、コブラが眼にしたのは法官の不敵な笑みだった。
その笑みと共に法官はペンダントを右手に握り込み、自らの頭上に掲げた。



カッ!!


ベルカ「!?」


シュゴオオォーーーッ!!!


コブラ「! この光、アーリマンの力か!」



そして長方形の一室にある、ありとあらゆる影が、尾を引いて法官の右拳に集まり始めた。
集まった影は拳を中心に渦を巻き、拳の隙間からは紫色の刺すような光が漏れている。
祭壇の蝋燭は火を失って風に倒され、ベルカは突如現れた禍々しき輝きに圧倒され、思わず立ち上がり、闇の風に衣服をはためかせた。


ゴゴゴゴ…


だが風は10秒と続かず、すぐに収まって影を元の所へ手放し、輝きは消えた。
後には遠方からの微かな雷鳴に似た響きが数瞬続き、右拳を降ろす法官の周りには、倒れた燭台以外に破壊の痕跡は残らなかった。
法官はその燭台を左手で拾うと、祭壇の上に戻し、ワインをグラスに注ぐかのような静かな動作で、順々に火を灯していった。


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