【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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592:名無しNIPPER[saga]
2019/02/17(日) 00:51:56.26 ID:DNdEuj+S0
グウィンドリン「人の力を支えとし、神々は勝利を収めた」

グウィンドリン「我らが大王の人に対する心は、神々を凌ぐ人の力を前に決まり、後の世へと伝わっていく」

グウィンドリン「だからこそ、竜との同盟が必要とされたのだ」


コブラ「?…待ちなよ。その竜ならさっき全滅しちまったぜ?」



古竜達は圧倒的な力を前に、しかし強い抵抗を示した。
だがオーンスタインを含めた王の四騎士と、魔女の娘達の参戦を受け、徐々に古竜達の抵抗は弱まり、王が大剣を手に取った最後には、古竜達は敗れて骸の山となった。
大樹は焼き尽くされ、岩は塵となり、竜の流した血は骸の山を降り、荒地に吸い込まれていく。
瞳無き白竜は曇天より舞い降りて、骸の山の頂に座った。



コブラ「!…こいつは、鱗の無い白竜か!」



白竜シース「………」




古竜の骸に立つ白い竜に、岩の如き鱗は無い。
それどころか両目も無く、翼は蜻蛉の羽のようであり、後ろ足の代わりには関節の退化した未熟な蛸足が一対、生えている。
胴体から生える前脚は人の腕のようであり、竜と言うにはあまりに歪なその白竜は、骸の山に右手を突っ込んだ。
そして一枚の鱗を掴み取ると、力を失った竜鱗を握りつぶし、咆哮を上げた。
その様は望む物を無くした子供のようだった。
あるいは、積もる怨みを遂に晴らした快感に、打ちひしがれているようにも。



グウィンドリン「コブラよ、貴公は確か青っちろいグニャグニャと申したな」


コブラ「?」


グウィンドリン「この白竜公こそが、まさにその青白だ」


コブラ「!? こいつがあんたの母親から産まれたっていうのか!?」


グウィンドリン「然り。白竜公は竜の似姿を持つが、その有り様はむしろ神に近しい」

グウィンドリン「白い身に満ちるは純然たる月の魔力であり、朽ちぬ古竜の持つ偽りの炎の力では無い。のちに偉大なるソウルの分け身の器と成れたのも、無からは遠き神たる性質ゆえだろう」


コブラ「そうか……だからシースは古竜を裏切った!いや、裏切らざるおえなかったのか!」


グウィンドリン「左様。白竜公の魔力は我が母上の原始結晶から受け継がれており、魔力を特に濃く受け継いだ公は、蒼き結晶の魔力を秘めるに至った。古竜供にはさぞ異質に見えたことだろう」

グウィンドリン「そして、白竜公に古竜供の有り様は忌まわしかったのだ。寿命と無縁である古竜の命を、神であるが故に、公は得られなかったのだから」


コブラ「おっと待った、さっきのその原始結晶ってのはなんだ?」


グウィンドリン「我らが母上の力を指すものだ。我ら月の兄妹や白竜公を産み落とした揺籠であり、魔力と呼ばれるあらゆるものの祖となった恵みだ」


コブラ「なるほど。神と言えど、母は強しか」



静まり、うなだれるシースを、闇の騎士達は見上げる。
人たる彼らの、その髑髏状の兜の奥に開く双眸は、はたしてシースの肉を捉えているのか、あるいは力を捉えているのか。
それを知る者はおらず、地平を埋める古竜達の骸を踏みつける、第二の冠被りし偉丈夫の眼は、虚空を見つめていた。
戦に勝利した銀騎士達と四騎士は、得物の刃先や先端部を曇天に向け、祈りと忠誠、感謝と弔意を王に示す。
だが太陽の光の王は、大音声に勝鬨を上げることもなく、ただ音も無いまま雲間の陽光へ向けて大剣を掲げた。
そして静かなる終戦と共に、あらゆる景色はまたも溶け消え、コブラとグウィンドリンは転移した。



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