575:名無しNIPPER[saga]
2019/01/28(月) 08:46:11.13 ID:3NslWmrV0
レディ「私は……そうね…どこから話せばいいのかしら」
ジークマイヤー「“うちゅう”の海賊…で、いいのではないか?」
レディ「そうは思うんだけれど、分かりにくい話だし…」
グウィンドリン「貴公らの世の理など、言わなくともよい。ただ何者かだけを言えばいい」
レディ「あらそう?それなら…そうねー…」
ジークマイヤー(神を前にして、先ほどからなんと不遜な言葉遣いだ…肝が冷えてたまらん…)
レディ「私の名前はレディ。でも、この身体になる前の私は、エメラルダ・サンボーンと呼ばれていたわ。サンボーン公国の王女だった頃は、人間としての身体を持っていたのだけれど、戦争に巻き込まれて一度死にかけた時に、コブラに助けられて、アーマロイドとして生まれ変わったの」
ジークマイヤー「サンボーン公国?……王女?…」
ビアトリス「……あの、それ始めて聞いたんだけど…」
レディ「それはそうよ、今初めて話したんだもの」
レディ「だけど『宇宙海賊の相棒』と言ったところで、結局は色々話すことになったんだし、ものはついでという事ね」
ローガン「どうりで堂々とした立ち振る舞いであったわけだ。王女とくれば、我らより人を知っていよう」
ジークマイヤー「こ…これまでのご無礼、いったいなんとお詫びをすれば…!」
レディ「いいのよ別に気にしなくたって。今の私はレディで、エメラルダはもういないの。それに、貴方は私のナイトじゃないでしょう?」
ジークマイヤー「しかし…まぁ…確かに…」
レディ「そういうことよ」
グウィンドリン「………」
人の語らいを聞き、グウィンドリンはしかし、レディの発した一言を反芻していた。
生まれ変わりとは、遂に人の世で恵まれなかった者達へ、豊穣の女神グウィネヴィアが差し伸べた、せめてもの救いの手である。
異形として生まれ、追われて奪われ、心砕かれた人々。
それらは皆、唯一己を救う奇跡にすがり、人心を神とその住まいへと、火へと馳せたのだ。
その偉大なる奇跡を、殊更に特別視するわけでも無く語るレディを見て、グウィンドリンは諦めとも呆れともつかない、疲れた笑みを口に浮かべた。
日々に奇跡が溢れる世があるのなら、奇跡にまみれた日々に生きるコブラに、神への敬意が芽生えるはずも無い。
グウィンドリン「コブラが不遜であるのも、必然か」
レディ「えっ?」
ジークマイヤー「?」
コブラ「なに、俺がどうかしたって?」
ジークマイヤー「!?」
ビアトリス「コブラっ!?」
コブラ「ふぁ〜〜…ったく、うるせぇなぁ。人が気持ちよく寝てるってのに〜」
グウィンドリンの言葉を聞いたか聞かずか、コブラは身体を起こし、首筋をふた掻きした。
篝火の温もりには神秘が宿る。温もりは不死も神も、異邦人さえも癒すようだった。
ジークマイヤー「おお…いつまでも目覚めぬから、どうなることかと思っていたぞ」
レディ「コブラ…あなたもう起きて大丈夫なの?」
コブラ「大丈夫なもんか。コーヒーは淹れなくってもいいぜ。はぁ〜おやすみ〜」ゴロリ
グウィンドリン「いいや、起きててもらおう」
コブラ「はぇ?」
グウィンドリン「貴公には、見なければならぬ物がある。世を救い、貴公らを救うを望むのならばな」
コブラ「………」
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